会計責任者の初公判尻目に安倍派は3分裂 「数は力」の論理で裏金議員せっせと“新派閥”づくり

公開日: 更新日:

 実態解明の糸口は出てくるのか。自民党の裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた安倍派事務局長で会計責任者の松本淳一郎被告(76)の初公判が10日、東京地裁で開かれた。松本被告が起訴内容を大筋で認めた一方、検察は収支報告書の作成に政治家の関与はなかったと指摘。罪をかぶった事務方を横目に、安倍派内では新たな派閥づくりに裏金議員が蠢動している。

 ◇  ◇  ◇

 検察は冒頭陳述で、裏金づくりが始まった経緯について政治家の関与の有無に触れなかったものの、虚偽記入については松本被告が事務局長に就任した2019年2月から行われており、前任者から引き継いだと指摘。裏金づくりが長期にわたって行われていたことが改めて浮き彫りになった。

 金庫番が裁判にかけられているのに、「不記載額3000万円」に満たなかった安倍派の裏金議員70人超は立件を回避。今月2日には、政治資金規正法違反などで刑事告発されている「5人衆」の萩生田光一前政調会長と世耕弘成前参院幹事長が不起訴となった。典型的すぎる「トカゲの尻尾切り」だ。

 幹部連中はそろって“おとがめなし”で、いつ誰がどのように裏金づくりを始めたのか、実態は不明のまま。派閥が裏金づくりの温床となった反省のカケラもなく、新たな派閥形成にいそしんでいるらしい。

「まだ正式に安倍派は解散していませんが、今年9月の総裁選をにらんだグループづくりが派内で活発化しているようです。その筆頭が萩生田さん、そして『派閥のプリンス』と呼ばれる元総務会長の福田達夫さんです。『数は力』と言われるように、それぞれ自身のグループづくりに血道を上げており、会合を開いては人数集めに必死な様子。すでに萩生田グループ、福田グループ、さらに、どちらにも属さない“第3極”に分かれているとか。一時は衆参100人もの勢力を誇っていた安倍派は今や、3つに分派しそうな形勢なのです」(自民党関係者)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  2. 2

    進次郎大臣は連日の視察とTV出演で大ハシャギ…ムチャぶりされる農水省は“ブラック企業化”のお気の毒

  3. 3

    ドン・キホーテが進次郎農相に異例の「直訴」…コメ流通は消費者ファーストではないのか? 識者が解説

  4. 4

    三井化学が石油化学事業を分社化…その先で描くのは過剰な同業他社との再編だ

  5. 5

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  1. 6

    自公政権の無策で失われていく庶民の味…「カレー」「ラーメン」「焼き肉」「洋菓子」「ステーキ」すべて倒産件数最多

  2. 7

    進次郎農相「コメ卸業者が営業利益500%増」発言で飛び交う「価格カルテル」疑惑と「コメの先物取引」で懸念されていたこと

  3. 8

    6月15日に開催G7サミットはトランプ関税で「会議は踊る、されど進まず」状態に

  4. 9

    マツキヨココカラ×コスモス薬品 節約生活の味方ドラッグストア大手を比較

  5. 10

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも