欧米からは完全に無視…“もうひとりのマララ”の悲惨な境遇
「すごく怖かった。あの時のことは絶対に忘れない」
“もうひとりのマララ”と呼ばれるパキスタン人のナビラ・レフマンさん(13)が来日。都内で16日会見し、3年前にその身を襲った空爆の恐怖を語った。
ナビラさんがノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(18)と比べられるのは、母国のパキスタンで同じようにテロの犠牲になったからだ。しかし、その後の境遇はまったく違う。
女子教育を訴えてタリバンに襲撃されたマララさんは、英国の病院で先端治療を受けて回復。英国にとどまり、学生生活を送っている。一方、ナビラさんは農作業中に米軍の無人偵察機にミサイル攻撃を受けて負傷した。
祖母も失ったナビラさん一家に対し、パキスタン政府は「米政府の責任」と突き放し、何の補償も受けられずに故郷を追われた。国内難民としての生活を余儀なくされている。
ナビラさんの招聘に動いた現代イスラム研究センターの宮田律理事長はこう言う。
「加害者が〈誰なのか〉で欧米政府やメディアの対応はここまで違うのかと愕然とします。タリバンの被害者のマララさんは〈自由の象徴〉のごとく祭り上げられているのに、米国の被害に遭ったナビラさんは完全に無視されている。13年にナビラさん一家は渡米し、米議会の聴聞会でスピーチしたのですが、出席した議員はわずか5人。報道はほとんどされず、帯同する予定だったナビラさんの担当弁護士は入国を拒否された。今回の招聘にあたっても、在イスラマバードの日本大使館はビザ発給に非協力的でした」
米国は過激派組織「イスラム国」に対する空爆を続け、その成果ばかりが伝えられるが、その裏で多数の民間人が犠牲になっている現実がある。