前川前文科次官 安倍政権「もうひとつの私物化」を激白
“腹心の友”に便宜を図った加計学園疑惑で安倍政権による「国家の私物化」は広く国民が知るところとなったが、どうやら氷山の一角のようだ。加計疑惑を告発した前文科事務次官の前川喜平氏が、自身が経験した「もうひとつの私物化」を明らかにした。2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の選定過程でも“総理のご意向”が働いていた。
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あれもかなり無理筋のお友達案件でした。動き始めたのは第1次安倍内閣のころです。「地域振興」だとして地方の首長さんたちが協議会をつくって、世界遺産登録に取り組んでいた。それをまとめて、ユネスコに働きかけようとしていた中心人物が加藤康子さんという加藤六月元農相の長女でした。安倍家と加藤家は仲が良く、康子さんは安倍首相の幼馴染みだそうです。第2次安倍内閣で、康子さんは内閣官房参与。文科省の3年先輩で元ユネスコ大使の木曽功さん(現・加計学園系列の千葉科学大学長)も同様に参与でした。木曽さんと和泉洋人総理補佐官も世界遺産委員会の現場にいました。
――「明治日本の産業革命遺産」は、軍艦島(長崎県)や官営八幡製鉄所(福岡県)など九州から岩手まで8県に点在する造船、製鉄、石炭産業など23の施設や遺構。各国の文化遺産推薦枠が年1件という中、文化審議会で既定路線とされた「長崎の教会群」を蹴倒して選ばれ、なぜか安倍首相の地元の松下村塾(山口県)まで含まれていることも“安倍官邸のゴリ押し”と噂されたものだ。