国民の「安心・安全」を本気で守るなら改憲より防災が先
まさに災害列島だ。7月に広島、岡山、愛媛など15府県で200人超が犠牲となった西日本豪雨に続き、9月に入ると、台風21号が関西を直撃し、広範囲で水浸しとなった。最大震度7の強い揺れが北海道を襲い、ほぼ全域停電の「ブラックアウト」が起きた。
昔から日本は自然災害の多い国とはいえ、今夏に次々襲ってきた大災害は、いずれも記録的な規模だ。過去に例のない大災害が相次いでいるのは、地球規模の温暖化と無縁ではない。
近年は世界各地で記録的な猛暑が続き、洪水やハリケーンの被害が深刻化している。ポルトガル出身のグテレス国連事務総長は、来年9月に「気候サミット」の開催を表明。2020年に始まる温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」の加盟各国の首脳に参加を呼びかけた。気候変動の暴走を食い止めるため、世界レベルで真剣に考える時代となっているのだ。
当然、この国も自然災害の深刻化への対処が喫緊の課題だ。安倍政権は「国民の命と平和な暮らしを守る」を重要課題に掲げているが、災害対策は常に後手、後手。事が起きてから、現地を見舞い、話を聞いて、自治体を支援するという繰り返し。これでは厳しい気候変動の時代は生き抜けない。