名店が次々閉店…市場移転に和洋中の料理人から悲鳴続出
築地市場の移転は市場業者だけでなく、食材を仕入れる首都圏の飲食店にも大きな暗い影を落としています。移転に伴い廃業を決めた仲卸業者さんには、それぞれお得意さんとして多くの料亭、割烹、レストラン、居酒屋があり、1軒の廃業の影響は数十軒の飲食店にも及びます。
それらの飲食店主の声はこれまでチマタに上がってきませんでしたが、突然の閉店でそれを知ることになり、寂しい思いの常連客も多いことでしょう。名店が廃業してしまってから築地市場の価値に気付いても遅いのです。
東京・湯島で新鮮な魚介を味わえる和風居酒屋「ふくろう亭」店主の杉見航さんは、「(豊洲移転で)アクセスと買い回りで1時間はロスする」と頭を抱える。ただでさえ多忙な朝の睡眠時間を削るしかないそうで、豊洲は諦め、別の市場を利用するか迷っています。「遅い時間に市場に行って掘り出し物を探すのが楽しみだったのに」と寂しそうです。
四谷のフランス料理「北島亭」の大石義一シェフも、これまで築地で自分の目で食材を確かめてきました。「アクセスや使い勝手の問題は解決したとは思えませんが、開場したらうまく対応していく」と前向きです。ただ、移転直前に敷地内から“クサい水”噴出と報じられ、「『盛り土なし』が発覚したように、私たちのような『末端』の料理人には、まだまだ知らされていないことがあるのではないか」と不安を隠せない様子。