小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)

元号の使用強制だけはやめるべきだ!

公開日: 更新日:

 新元号「令和」が発表された。私は、冬から春になり事態が好転する趣旨ととらえて、平成の閉塞感を破る新展開に期待したい。

 3日、官房長官は元号について、「国民は西暦と自由に使い分けて良い」が「公的機関は元号を使い続けるべきだ」と語った。しかしこれは矛盾している。つまり、元号を使う使わないは各人の自由だ……と言っておきながら、役所では元号を使い続けろ……としたのでは、国民はあらゆる手続きで元号の使用を間接的に強制されることになる。

 私は元号の強制には反対で、理由は次のとおりである。

 まず、既に国際社会の中で生活している私たちにとって、西暦と元号の換算は面倒で時々誤りが生じてしまうし、そして、何よりも時間の無駄である。

 そして第二が、本質的な疑問である。元号は、中国の皇帝が「この世の支配者」として「時」にも自分で名を付けた先例に由来する。それに倣ってわが国でも天皇が時に命名した時代があった。しかし、歴史の流れの中で、諸国の王制は次々に廃止され、少数残っている王制もいわゆる「立憲君主制」である。そこでの国王は、かつての権力者から、単に形式的に国を代表する象徴に変化してきた。これは歴史的必然である。原始に近い時代では、武器の使用が許されていたために、一部の豪族が武力を用いて国の支配者になることは当然視されていた。しかし、現代では、教育も行き届き、国民全員で情報を共有し、皆の勤労の成果で国を支え、国民には平等な投票権と表現の自由が保障されている。だから、このような国民主権国家においては、「時の支配者」たる君主制に由来する元号制を維持し続ける理由はもはや存在しないのではあるまいか?

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