台紙の上部には見えないのに下部にだけ広がる「斜線」の謎

公開日: 更新日:

 小池都知事が自身のカイロ大学「卒業証書」と「卒業証明書」を公開したのは6月15日で、都知事選告示の3日前だった。過去2年間、小池は都議会の提出要求を拒んできた。小池サイドの「手違い」により、日刊ゲンダイは公開の場から“排除”されたが、告示日にようやく閲覧する機会を得た。

 場所は小池の選対本部となった西新宿の都民ファーストの会事務局。窓がなく、小さな白熱灯だけが頼りの薄暗いスペースに通されると、2つの書類はそれぞれクリアケースに挟まれた状態で机の上に並んでいた。

 日刊ゲンダイは表と裏、さまざまな角度から書類を撮影。そばには見届け人の伊藤悠都議が控え、終始、不機嫌そうな表情を浮かべていた。時間にして10分強。肉眼では特におかしな点には気づかないまま、事務局をあとにした。

 撮影した数点の写真を見直すと、卒業証明書に添付された若き小池の顔写真が気になった。肩幅と比べ、顔のバランスが大き過ぎるように思えたのだ。その感想を顔写真付きで「日刊ゲンダイ ニュース記者」のツイッターに投稿したところ、計5000件近いコメントとリツイートが寄せられた。

 中には写真を拡大、ネガポジ反転させるなどして独自の検証を行う人々もいた。そうした方に直接、話を聞き、日刊ゲンダイ・写真部の意見も参考に検証を重ねた結果、縦4・5センチ、横3・5センチ程度の顔写真には、いくつか「変」な箇所があった。

 その一つが台紙だ。写真を拡大すると、ちょうど肩の上にかかった髪の毛の辺りを境目に、台紙の下部には左斜め上から右斜め下に向かう「斜線」が走っている。上部には斜線は見えない(写真①)。ただ、斜線の境界線は上下で水平に分かれているわけではない。写真②の黄線で示したように首の辺りでくぼんでいる。

 この点を小池事務所に書面で確認すると、6人の代理人弁護士の連名で「本件『顔写真』の件は、カイロ大学に問い合わせされたい」と回答した。「変」な部分はまだある。(つづく)

【写真】安倍首相アベノマスクをついに卒業(11枚)
【写真】小池都知事の会見はまるで“言葉遊び” 過去最多367人の感染者(12枚)

【連載】小池知事 カイロ大卒証明書「顔写真」の謎

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    随意契約“小泉米”をホメているのは新聞とテレビだけ…専門家の評判はからっきし

  2. 2

    石丸現象は完全消滅…都議選で自民党と並ぶ42人擁立も新党「再生の道」は壊滅危機

  3. 3

    山尾志桜里氏「みそぎ」の出馬会見で火に油…延々2時間半「すみません」連呼、8年前の不倫報道には“完黙”

  4. 4

    国民民主党の凋落が止まらない…東京都議選の目標議席「11→5」にシレッと“下方修正”の哀れ

  5. 5

    進次郎農相の“JA憎し”どこまで…「古古古古米」込み20万トン再放出の“逆兵糧攻め”で宿敵つぶしに躍起

  1. 6

    山尾志桜里氏が参院選「公認取り消し」に至るまで…玉木国民民主またポンコツぶり露呈

  2. 7

    コメ高騰と備蓄米叩き売りで進次郎農相・自民農水族・財務省が“焼け太り”…輸入拡大ならトランプ大統領もニンマリか

  3. 8

    福岡厚労相ついに“白旗”…健康保険証の代わり「資格確認書」の一律送付「最後は自治体の判断に委ねる」

  4. 9

    参院選の争点に浮上か? 野党3党がガソリン「暫定税率廃止」法案を共同提出する深謀遠慮

  5. 10

    自民党の大嘘…12年前に掲げた「農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増」はどうなった?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波