保阪正康
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保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

帝国陸軍の意識は憲兵隊と中野学校では異なった

公開日: 更新日:
杉山元・陸軍大臣。帝国陸軍軍人、陸軍大将、元帥。1940年から参謀総長、東條英機首相の参謀総長兼務に伴い教育総監、同年7月から翌年4月までは小磯内閣で陸軍大臣を再度務めた。敗戦後、自決(C)共同通信社

 昭和20(1945)年4月15日の早朝である。憲兵隊の一行が大磯の吉田茂邸の玄関に入っていった。むろんAには事前情報など知らせるわけはない。それにAは憲兵の指揮下にあるわけではない。陸軍省兵務局の工作員で、兵務局長、陸軍大臣の隷下にある。

 中野学校出身者は憲兵とは異なる…

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