関税交渉を政治利用 束の間の石破続投で失う国益

民意の後ろ盾を失った政権がトランプ交渉を理由に続投宣言したが、足元を見られるのは明らかだ。交渉継続を政治利用する危うさと損失。赤沢訪米を誰も止めない自民党の劣化。石破政権がつづけば続くほど、国民は大損だ。
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20日投開票された参院選は自民、公明両党の歴史的敗北で幕を閉じた。
今後、予想されるのは、内政や外交で、良くも悪くもさまざまな影響が出てくることだろう。
「深くおわびする。結果を謙虚に受け止めなければいけない」。惨敗から一夜明けた21日、党本部で記者会見に臨んだ石破首相(自民党総裁)。まずはこう陳謝しつつ、「比較第1党の責任を果たさなければならない」と続投の意志を強く示した。
「比較第1党」とは過半数には達しないものの、議席数を最も多く持つ政党のことだ。参院選では自公が議席を大幅に減らす一方で、国民民主党などの野党が議席を増やした。
多極化した与野党の中で、石破は「それでも自民の優位性が揺るがない」と強調したかったのだろう。参院選公示前に自身で掲げた「非改選を含めた与党で過半数」という目標に届かなかったにもかかわらず、この開き直りとも言える姿勢。
負け惜しみというのか、強がりというのか、いずれにしても厚顔無恥という言葉がぴったりではないか。
昨秋の衆院選に続き、民意の後ろ盾を失った石破政権。自民党内からは公然と「石破おろし」の声が上がる中で、渦中の石破は辞任を否定。続投の理由として挙げたのが
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