「物語のある中世ヨーロッパ解剖図鑑」河原温監修 かみゆ歴史編集部編著
「物語のある中世ヨーロッパ解剖図鑑」河原温監修 かみゆ歴史編集部編著
中世ヨーロッパは、西ローマ帝国が滅亡した5世紀から、東ローマ帝国が滅亡する15世紀末までの約1000年間の歴史を持つ。日本の奈良、平安時代以前から、鎌倉、室町時代までにあたり、現代人には遠く隔たった謎の多い時代にも感じられる。しかし、城や大聖堂、国家、都市、議会、税金、銀行制度、職人組合、大学などのルーツはいずれも中世ヨーロッパにあり、現代ともつながっている。
本書は、中世ヨーロッパの歴史と、当時の社会の仕組みや人々の暮らしを、イラストで解説するビジュアルテキスト。
中世ヨーロッパでは、人々のコミュニケーションや移動は限られていたが、十字軍や聖地巡礼、商取引などで往来し、モノのやりとりを通じて次第にヨーロッパという世界をかたちづくっていった。その過程において重要だったのがキリスト教という宗教だという。
西ローマ帝国滅亡後、さまざまな国が勃興し乱立するが、フランク王国が領土を拡大し、8世紀末にはカール大帝によってほとんどの地域が征服、統一される。
かつて帝国の国教だったキリスト教は、帝国滅亡後に後ろ盾を失っていたが、ローマ教皇はフランク王国に接近。カール大帝が西ヨーロッパを統一するとローマ皇帝の帝冠を授けた。こうして宗教と政治の結びつきが強まり、キリスト教を基礎とする西ヨーロッパ文化が築かれていったという。
また中世には階級制度はなく3つの身分のみがあった。それが「祈る人(聖職者)」と「戦う人(騎士)」「働く人(農民)および職人、商人」。
その祈る人、戦う人、働く人別にそれぞれの社会と暮らしを詳述。
アニメやゲームの舞台としてたびたび登場する中世ヨーロッパについて、改めて学び直すのに格好のテキストだ。
(エクスナレッジ 1980円)