「日本人の思考」苅谷剛彦著
「日本人の思考」苅谷剛彦著
国内外の大学で教壇に立ってきた著者による大学論。
昨年5月時点で、国内には796校の4年制大学があり、約263万人の学生(学部生のみ)が在籍。19万人が大学教員として働いている。この70年で大学数は4倍、学生数は約8.5倍になり、高校を卒業した若者の進学率は56%を超えている。
まず日本の大学の大衆化に着目。日本社会はどのようにしてこうした大学の拡張を受け入れ、理解してきたのか、その理由を考察。
その過程で、研究において論文を原著で読むことの意義についても言及。日本の文化における翻訳の役割、そして翻訳と大学の大衆化との関係にも論を展開していく。さらに、翻訳学問に依拠した大学教育によって醸成された、日本人の思考の習性(クセ)まで解き明かす。 (筑摩書房 1056円)