「薬を減らす」が目的ではなく「必要な薬を続ける=適正処方」がゴール
高齢化が進む日本。病気が慢性化しやすく、気づけば薬の数がどんどん増えている……そんな患者さんは決して少なくありません。いわゆる「ポリファーマシー(多剤併用)」の問題です。
たとえば、血圧の薬、糖尿病の薬、胃薬、睡眠薬、痛み止め、ビタミン剤……。1日10錠以上を飲んでいる方も珍しくありません。でも、本当にすべて必要なのでしょうか? 薬同士の相互作用、副作用、飲み間違いなど、多くなればなるほどリスクも増えていくのが現実です。実際、過剰な薬が原因でふらつきや低血圧、認知機能の低下が起きているケースもあります。また、痛み止めを飲むと胃が気持ち悪いので胃薬を追加、などのように薬の副作用に対して新たな薬が処方されている、なんてケースも結構存在するのです。
「先生に出された薬だから……」と遠慮される患者さんも多いですが、医師や薬剤師が連携すれば、薬を見直すことは十分可能です。大切なのは、「薬を減らすこと」が目的ではなく、「必要な薬を続けること」だという認識です。つまり、「適正処方の実現」がゴールなのです。漫然と使用されている薬を医師や薬剤師が再度チェックし、調整することにより体調が改善するケースもあります。