米国で広がる排除の連鎖…ワシントンDCでの州兵銃撃を機に移民・難民が一斉に標的に
こうした強硬政策に対し、「たった一つの事件を理由に、移民全体への締め付けと排除が正当化された」との批判が噴出している。対象国の多くがアフリカ、中東、南アジアに集中していることから、黒人国家、ムスリム国家を危険視する差別的政策だという懸念も高まっている。
■「逆移民」まで持ち出す
これに対しトランプ大統領は、いわゆる第三世界からの移民を永久停止し、既に滞在する移民を送り返す「逆移民」の必要性を強調。「逆移民」は欧州極右が多用する概念で、民族・国籍による排除を正当化するレトリックとして知られる。移民国家アメリカにおいて、現職の大統領がこうした概念を公的な場で持ち出すのは、極めて異例の事態だ。
強硬化する移民排除の波の中で、誰が“アメリカ人”にふさわしいのか。国籍や人種によって市民権を線引きすることは許されるのか。
銃撃事件を契機とした議論は、アメリカ社会の根幹にある市民権の概念そのものを揺さぶりつつある。



















