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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

中日・与田監督は審判へのハラスメントになっていないか

公開日: 更新日:

 何しろ、大観衆の熱い視線にさらされ、マスコミの注目度も高いプロ野球の公式戦において、「絶対にミスをしてはいけない存在」という普通の人間としてはあまりに酷な認識を共有されている審判が、不意にケアレスミスを指摘されたのだ。このときの球場内のざわめきと緊迫感、与田監督および中日ベンチの興奮を想像すると、今岡塁審は生きた心地がしなかったことだろう。あらゆる圧力が強烈な高波となって押し寄せてきた瞬間に、今岡塁審が思わず(とっさに、無意識に)嘘をついてしまったのなら、私は人間として極めて当然の心理だと考える。

 与田監督はどうなのだろう。あの状況で冷静かつ正しい判断を瞬間的にできる人間像を今岡塁審に求めたのか。それは確かに正論だが、正論を振りかざすハラスメントになってやしないか。本当に問題視すべきは嘘そのものではなく、嘘をつかざるを得ない審判の精神的環境ではないのか。

 そこを改善できないのなら、私はとっさの小さな嘘くらい大目に見てほしいと思う。つい嘘をついちゃったんだよな、分かる分かる。まあ、そういうこともあるわな。判定も覆ったことだし、リクエスト制度を導入して良かった良かった……これで終わりじゃないのか。

 人間はそんなに強くない。それはきっと与田監督だって同じだろう。

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