野村克也さんの“遺言”「このままじゃプロ野球はダメに」

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頭の野球がからっきしなくなった

 標榜したデータ重視の「ID野球」に象徴されるように、「野球は頭のスポーツ」が持論。ヤクルト監督時代には巨大戦力の長嶋巨人を向こうに回し、「弱者の戦術」「弱者の戦略」を駆使して、9年間で4度のリーグ優勝、3度の日本一を達成した。そんな野村氏からすれば、今のプロ野球は不満だらけだった。

「組織はリーダーの力量以上には伸びない。監督が野球を掘り下げ、勉強していないから、試合がつまらない。今、プロ野球を見渡しても、監督として面白いなぁという人はひとりもいない。野球に深みがないんだ。野球はドラマ、一球のドラマだよ。『江夏の21球』がその象徴で、60年以上も野球界に身を置いてあれが最高のドラマだと思うけど、(今のプロ野球には)ああいうものがからっきしなくなっちゃったよ。名将、知将と呼ばれる監督もいないでしょ。巨人の原監督? 原の監督としての実績は、カネを使って補強してくれるフロントの功績だよ」

 実際、原監督が復帰した昨年、巨人は5年ぶりのリーグ優勝を達成したが、ライバルの広島から主砲の丸をFAで獲得したのが最大の勝因だ。その巨人を破って3年連続の日本一を果たしたソフトバンクも、潤沢な資金を背景にした圧倒的な戦力を擁するチーム。カネがあり、戦力がある球団が順当に勝つ。采配や戦術は二の次で頭の野球が入り込む余地のない現状を野村氏は嘆き、「このままじゃプロ野球はダメになる」と憂えていた。

「本来、監督はその能力が評価されてなるもの。でも今は、戦術や采配より処世術が優先。人気があるとか、いいヤツだとか、フロントの覚えがめでたいとか。能力より処世術が評価される。それも監督の人材不足の原因だと思うね。ますますプロ野球はつまらなくなっちゃうよ」

 そうボヤキにボヤキ、球界に警鐘を鳴らしていた野村氏。その損失は計り知れない。 

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