エンゼルスがオープン戦首位確定! 大谷翔平もチームも好調の「吉と凶」

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 エンゼルス・大谷翔平(27)が、リアル二刀流として迎える実質2年目のシーズンを前に日増しに調子を上げている。

 オープン戦はここまで投手として2試合に登板、5回3分の2で1勝0敗、防御率4.76と数字こそイマイチだが、2試合とも直球の最速は150キロ台後半をマークした。打者では12試合に出場し、24打数7安打の打率.292、3本塁打、7打点。日本時間4日のドジャース戦では昨季16勝(4敗)のビューラーから会心の一発を放つなど、開幕投手を務める8日のアストロズ戦に向けて順調な仕上がりを披露。6日の試合前にキャンプを総括した大谷は「一番いい状態で来ていると思うので、この状態をまず崩さないようにしっかりと集中し、ゼロに抑えたいなと思います」と、開幕戦を見据えた。

 投打の中心を担う大谷と同様に、チームも絶好調だ。オープン戦16試合で11勝5敗。6日のドジャースとの最終戦を前にカクタスリーグ(アリゾナ州)の首位が確定した。懸念されていた投手陣はチーム防御率4.31で30球団中8位、被本塁打18は5番目に少なかった。昨季、故障で離脱したトラウト、レンドンの強打者2人が復帰した打線も機能し、チーム打率.291は全体3位、32本塁打は同5位、総得点113は同5位と主要部門で上位を占めている(記録は5日終了時)。

 エ軍は過去のオープン戦で好調だった年はレギュラーシーズンでも好成績を収めた。ワールドシリーズを制した2002年のオープン戦は17勝15敗でリーグ5位タイで終え、公式戦に突入。ワイルドカードでポストシーズン進出を果たすと、世界一に上り詰めた。その後も6度ポストシーズンに進出しているが、いずれもオープン戦を上位で終えている。

■先発陣の層の薄さは今季も変わらず

 大谷が常々、今季の目標に挙げているポストシーズン進出に向けて好材料ばかりだが、果たして大谷は投手として9勝、打者として46本塁打をマークした昨季以上の成績を残すことができるのか。エ軍は7年連続でプレーオフ進出を逃しているが、今季は期待していいか。

「今季の大谷は何より投手としての不安が尽きません」と大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。

「先発陣は大谷とシンダーガード(前メッツ)の二枚看板以外の4人は経験が浅く、計算し難い。今季も先発投手の弱さは相変わらずです。ローテ3番手以降が投げる試合ではリリーフ陣を酷使しなければならない。リリーフ陣の負担を軽減するため、マドン監督は大谷の登板時は最低でも7~8回は投げてもらいたいはずです。カットボールを駆使して省エネを心掛けた昨季終盤のような投球ができれば、打者大谷が牽引する打線は強力だけに勝ち星が付いてくるはずです。5回で降板するマウンドが続けば、疲弊したリリーフ陣が打ち込まれて白星をフイにされかねません。エースの大谷が勝てなければ、当然チームの上位進出は難しくなります」

打席数増で体調管理がより重要に

 大谷はスポーツ誌「ナンバー」(4月14日号)のインタビューで、18年10月に手術した右肘について「リハビリをしてもメスを入れたところは100%は元に戻らない。それを前提として、これから投げていくたびに馴染ませていくしかありません」と、依然として右肘に不安を抱えていることを明かした。

 打者大谷はどうか。

「今季はユニバーサルDHや、降板した後も打席に立てる『大谷ルール』が採用され、打席数が増えて休養する機会が減ることになるため、大谷の体調管理が重要になる。マドン監督はレイズ時代から計算のできる選手を酷使する傾向がある。疲労がピークに達する夏場以降、大谷に極度の負担がかかるようなら、故障を招きかねず、仮に大谷が離脱するようなら、チームの失速につながるのではないか」(前出の友成氏)

 要するに、いくらオープン戦が好調であっても、レギュラーシーズンは二刀流の活躍次第ということ。

 大谷は例年以上に大きな負担がかかるのは必至で、果たして年間を通じてパフォーマンスを発揮できるのか。不安は尽きない。

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