「若い頃は軽い方がいい」宇良の復活に重なる栃木山の育成論

公開日: 更新日:

 秋場所4日目(14日)、宇良宝富士に勝った一番の決まり手は、伝え反りだった。2001年初場所で加わった決まり手の一つ。翌年秋場所で朝青龍が貴ノ浪に決めて以来、出ていなかった。

 相手の脇の下をくぐり抜けながら体を後ろへ反らせ、相手を倒す。強い足腰と自在な動きが必要な珍手・奇手。宇良らしい技に館内が沸いた。

 関学大から15年春場所で初土俵を踏んだ当時、113キロ。居反りを得意とするアクロバット相撲で注目された。順調に17年名古屋場所で東前頭4枚目まで昇進し、日馬富士から初金星も挙げた。

 だが、この場所で痛めた右膝が悪化して、序二段まで転落。そこから三役目前まで戻って奮戦する姿が、感動を呼んでいる。

 この間、見違えるような体形になった。今場所は151キロ。身長173センチだから小柄ではあるが、もう軽量ではない。

 一般的には下半身を痛めたら体重をセーブした方がいいと思われているが、小兵・軽量力士は、やや事情が違う。安美錦(現安治川親方)も、膝やアキレス腱のけがをした後、130キロから154キロまで増やした。

 人間の脚の関節は前へ進むようにできており、横や後ろへの動きは得意ではない。相撲で前に出るのは難しいが、押されて下がったり、横に動いたりすれば負荷が増す。補強やケアと並行しながら慎重に体を大きくして、押す相撲を増やすモデルチェンジが復活の武器になり得る。

 相手にしてみると、業師ぶりを警戒して見て立てば、いっぺんに出てこられる。先手を焦って出れば、技が待っている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか