著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

パリの聖火リレーが忘れている“本当の意義” 歴史、景観、伝統を発信することだけが目的ではない

公開日: 更新日:

 しかし、最も大切な何かを忘れていないか?

 コロナ禍の厳しい制限の中で行われた東京2020の聖火リレーを思い起こすとその開放感に圧倒されるが、あの時に問われた、コロナ禍でもやる意味はひとつしかなかった。古代ギリシャでは4年に1度、戦争を止めてオリンピアに集まり競技会を開いた。その開催を告げる使者がオリーブの枝を持って各ポリス(都市国家)を回った。「武器を置いてオリンピアに集まれ!」と。

 聖火リレーは、オリーブの枝をトーチに替え、世界に休戦を呼びかける平和への訴えなのだ。

 この根本原則をパリ五輪も想起すべきだ。東京が伝えきれなかったその意義をパリは発信しているか?

 朗報があった。日本の中学生がギリシャ内のリレーに参加し、聖火ランナーとなっていた。オリンピア市と姉妹都市提携をしている愛知県稲沢市の9人の中学生だ。トーチを持った生徒は「日本代表としてのいろんな思いや意志が入ったトーチだと思います。その責任と思いを背負い、しっかり走れるように頑張ってきたい」と語った。実は東京2020でトーチの燃焼部分を請け負った愛知県の「新富士バーナー」が、パリ五輪でもトーチの燃焼部分とガスボンベを製造している。

「平和を考えて走りきってきたいです」とは伴走者の中学生の言葉だ。聖火リレーの意義を日本の若人が伝えていた。これから約60日間繰り広げられる聖火リレーの毎日は「フランス」を伝えるだけでなく、「休戦」をアピールしなければならない。 

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  2. 2

    風間俊介がジャニーズJr.のセンターの座を捨てて都立高校受験に専念した意外な理由

  3. 3

    崖っぷち渋野日向子に「日本人キャディーと縁を切れ」の声…外国人起用にこれだけのメリット

  4. 4

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  5. 5

    侍J井端監督に大ピンチ!ヤクルト村上、阪神才木ら米挑戦組「WBC全員辞退」の可能性

  1. 6

    松重豊は福岡の人気私立「西南学院」から明大文学部に 学費の問題で日大芸術学部は断念

  2. 7

    そうだ、風邪をひけばいいんだ!減量に行き詰まった末、裸同然で極寒の庭へ飛び出した

  3. 8

    カムバック星野監督の“2カ月20kg”の無茶ぶりに「嫌です」なんて言えるはずもなく…

  4. 9

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  5. 10

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校