僕は本来「教え魔」だが、最優先は「選手をみること」。むやみに教えまくるのがコーチではない
僕の現役時も、聞いていないのに……ということがあった。コーチのスタンスはそれぞれだから、いろいろなやり方があってもいいとは思う。本当は教えたいが、プロ野球選手は少なからず、自分の理論を持っている。
僕がなぜ安易に言葉を発さないかというと、理論や考えが全員に当てはまるとは限らないからだ。
監督が先発メンバーを決めて、打順を組んで、打線としてやってほしいことは首脳陣で共有している。「こういう時は強引に打っていい。こういう時は見てくれ。こういう時は2、3球目まで待ってくれ」という決めごとはある。
ただ「脇を締めなさい。開けなさい。グリップを上にしなさい。下げなさい」といった類いのことは一概には言えないのだ。
不意に選手から僕が考えていることと違うことを聞かれ、「えっ!」と3秒くらい考えてしまうことはあるにせよ、瞬時に答えられないのは、指導者失格である。
一軍と二軍のコーチングも大きく違う。