タイガー・ウッズの練習風景に度肝を抜かれつつも、頭の中はサインのことでいっぱいでした
1ミリという表現が大袈裟ではないほど、ボールは風を突き抜け真っすぐ飛んでいくのです。
タイガーのボールに衝撃を受けながらも、僕はサインをもらうチャンスをうかがっていました。でも、例の記念フラッグは持っていません。
「ボールに書いてもらうのも失礼だしな」
その時、売店で買った赤い小物入れが頭に浮かびました。
タイガーは20球くらいドライバーを打つと引き揚げようとしたので、「サインをください」とお願いすると、快く「笑顔」で応じてくれました。藤田さんも色紙なんて持っていませんから、プレーヤーズバッジを出して、その裏に書いてもらっているとき、藤田さんが選手とわかったタイガーが聞いたのです。
「今日はどうだったんだい?」
藤田さんは緊張しながら「74」と答えると、強風下の厳しさを知っているタイガーは「グッド」と言ったように聞こえました。ちなみに、この日のタイガーのスコアは71でした。
最終日は強い風は影を潜めたものの、この週は雨が降らずフェアウエーとグリーンはカチンコチン。ティーショットのボールがどれだけ転がるかはまったく計算できません。それでも藤田さんは73でまとめ、通算1アンダー41位でフィニッシュしました。