なぜMVP2度のハーパーはブチ切れた?いまさら聞けない「選手会vsMLB機構」の内情
最後は握手したものの…
フィリーズとの対話の中でマンフレッドはサラリーキャップ制という言葉は用いなかったものの、話そのものはサラリーキャップ制の導入を前提とする内容であったとされる。
現在、デビッド・ルーベンスタイン(オリオールズ)やジョン・ヘンリー(レッドソックス)などの複数の球団経営者も、サラリーキャップ制の導入を主張している。こうした状況下では、マンフレッドの話に経営者の姿を重ね合わせるのは容易である。
しかも、ハーパーは激高しやすい気質の持ち主としても知られる。それだけに、労使交渉が始まる前からサラリーキャップ制の導入を示唆するような話をするマンフレッドの態度に不信感を抱き、衝突したとしても不思議ではない。
ただ、マンフレッドとしては、折に触れてサラリーキャップ制の導入を連想させる話題に触れることは、新たな制度を設けなければ球界の将来的な発展はないという主張の信憑性を高めるためにも必要となる。他の選手たちのとりなしもあって両者は最後は握手をした。
しかし、ハーパーは翌日のマンフレッドからの電話に出なかったし、マンフレッドは今回の一件を「たいしたことではない」と受け流している。現時点ではマンフレッド側に余裕がうかがわれるものの、労使のいずれの主張が反映されるのか、今後の交渉の行方が注目される。