広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々
部員153人が閉鎖的な寮で360日
19年の日刊ゲンダイのインタビューで、中井監督はこうも言っていた。
「(自分の)親父が就任当初からずっと、『他人の方から信頼されてお子さまを預かっているのだから、きちんと最後まで面倒を見ろ』と言ってくれていた」
「子どもたちは高校野球で人生が終わるわけじゃない。その後の人生の役に立てる『野球道』でないといけない」
「ウチの子が小、中学校時代のチームに挨拶に行って、『本気で野球をやりたい、男とか人を学びたいやつは広陵が絶対にいい』と言っているという話を聞いたり、卒業生が『僕の子どもを預けるまで続けてください』と言われると非常にありがたいです」
今聞けば、ブーメランのように返ってくる指導方針、哲学ばかりだ。
「部員の数を制限して野球部を管理する高校が増える中、広陵は今年も部員153人の大所帯。強制ではないとしながら、全部員が学校の敷地内に建てられた『清風寮』で全寮生活を送る。部員が実家に戻れるのは、年末年始の5日間だけ。上級生と下級生が一緒になって生活することが、中井監督が誇る『全員家族』のバックボーンになっているわけですが、どうしたって上下関係が生じる野球部で、150人超もの部員が閉鎖的な空間で一緒に生活すれば、どんなに立派な指導哲学があっても綻びが生じる。6日には一連の暴行事案とは別に、元野球部員の父親が実名で“我が子も広陵野球部内で暴行を受けた”とSNSに投稿し、警察に被害届を提出して現在捜査中だと明らかにしています。『全員家族』の裏で、部内暴力の常態化も指摘され始めています」(前出の地元マスコミ関係者)
日刊ゲンダイのインタビューで中井監督は最後にこう言っていた。
「しがみついてまで監督をやり続けたいとは思わない。必要とされればやるし、そうでなければ潔く身を引く」
◇ ◇ ◇
今回の事件は、いわば「甲子園至上主義」の歪みが招いた惨劇と言っても過言ではない。だとすれば、その“元凶”とは何なのか。高校野球を取り巻く異様な実態とは。
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