【佐藤輝明】飛躍のウラにレジェンド金本知憲との共通項…スコアラー目線で徹底分析
「普通の球場だったら、50本の価値はある」
──佐藤輝は、かつてのレジェンドと同様に強打者特有の攻め方をされていると。
「昨季までの輝は、インハイの速球をファウル、空振りし、きちんと仕留めることができないケースがありました。そもそもインハイが得意な選手はなかなかいませんが、仕留め切れない分、インハイを続けられて、一気に打てなくなるというパターンはありました。今季の輝はテレビで映像を見る限りでは、インハイを狙って打ちにいったケースで、しっかりと仕留められているように見えます」
──そうなると相手投手もインハイを攻めづらくなりますね。
「10月2日のヤクルト戦も、青柳の初球ストレートを仕留め、右翼席に完璧な本塁打を放ちました。少し前で言えば、8月31日の巨人戦、左腕の中川のインハイの初球の速球を振り抜いた打球は右翼ポール際に。浜風でファウルゾーンからフェアゾーンに押し戻される形でエンタイトルツーベースになった。
ああいう形でインハイの速球をファウルではなくヒットにすると、投手としてはなかなか内へは投げづらくなるもの。甘く入れば、スタンドに持っていかれる危険もあるわけですから。結果、配球が外角中心になれば、打者としても有利になります」
──ボール球を振らなくなったという見方も多い。
「それが一番かもしれませんね。打席で余裕が出てくれば、ストライク、ボールを見極めやすくなる。あと、これは本人に聞いてみないとわかりませんが、打席ではフルスイングしているようには見えないですよね。本人がどういう意識でスイングしているかはともかく、あの打ち方で打球が飛ぶのですから、その方がいいのかもしれません。甲子園は浜風があって球場が広い。左打者にとって不利な中、40本塁打近く打っている。普通の球場だったら、50本の価値はあると思います」
──金本知憲さんも、きちんと1球で仕留めていたからこそ、あれだけの成績を残した。
「内角の落ち切らない変化球、失投気味の球はきちんと仕留めていました。四球が多かったのもしかり、相手もなかなかまともに攻めてこない中で、甲子園で40本塁打をマークした。やはり別格でした。輝に関しても、昨年は岡田彰布監督(当時)が『佐藤が一番可能性あるよ』と言っていました。主砲としてチームの顔として、これからもタイガースを引っ張っていってほしいと思います」
(次回は近本、森下らについて)