著者のコラム一覧
飯田正男阪神元スコアラー

1959年、群馬県生まれ。高崎商から内野手として1977年ドラフト5位で阪神入団。81年引退。翌82年から2024年に退団するまで43年間スコアラーを務めた。

【佐藤輝明】飛躍のウラにレジェンド金本知憲との共通項…スコアラー目線で徹底分析

公開日: 更新日:

「普通の球場だったら、50本の価値はある」

 ──佐藤輝は、かつてのレジェンドと同様に強打者特有の攻め方をされていると。

「昨季までの輝は、インハイの速球をファウル、空振りし、きちんと仕留めることができないケースがありました。そもそもインハイが得意な選手はなかなかいませんが、仕留め切れない分、インハイを続けられて、一気に打てなくなるというパターンはありました。今季の輝はテレビで映像を見る限りでは、インハイを狙って打ちにいったケースで、しっかりと仕留められているように見えます」

 ──そうなると相手投手もインハイを攻めづらくなりますね。

「10月2日のヤクルト戦も、青柳の初球ストレートを仕留め、右翼席に完璧な本塁打を放ちました。少し前で言えば、8月31日の巨人戦、左腕の中川のインハイの初球の速球を振り抜いた打球は右翼ポール際に。浜風でファウルゾーンからフェアゾーンに押し戻される形でエンタイトルツーベースになった。

 ああいう形でインハイの速球をファウルではなくヒットにすると、投手としてはなかなか内へは投げづらくなるもの。甘く入れば、スタンドに持っていかれる危険もあるわけですから。結果、配球が外角中心になれば、打者としても有利になります」

 ──ボール球を振らなくなったという見方も多い。

「それが一番かもしれませんね。打席で余裕が出てくれば、ストライク、ボールを見極めやすくなる。あと、これは本人に聞いてみないとわかりませんが、打席ではフルスイングしているようには見えないですよね。本人がどういう意識でスイングしているかはともかく、あの打ち方で打球が飛ぶのですから、その方がいいのかもしれません。甲子園は浜風があって球場が広い。左打者にとって不利な中、40本塁打近く打っている。普通の球場だったら、50本の価値はあると思います」

 ──金本知憲さんも、きちんと1球で仕留めていたからこそ、あれだけの成績を残した。

「内角の落ち切らない変化球、失投気味の球はきちんと仕留めていました。四球が多かったのもしかり、相手もなかなかまともに攻めてこない中で、甲子園で40本塁打をマークした。やはり別格でした。輝に関しても、昨年は岡田彰布監督(当時)が『佐藤が一番可能性あるよ』と言っていました。主砲としてチームの顔として、これからもタイガースを引っ張っていってほしいと思います」

(次回は近本、森下らについて)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  2. 7

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  3. 8

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市首相が招いた「対中損失」に終わり見えず…インバウンド消費1.8兆円減だけでは済まされない

  2. 2

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

  5. 5

    「NHKから国民を守る党」崩壊秒読み…立花孝志党首は服役の公算大、斉藤副党首の唐突離党がダメ押し

  1. 6

    国民民主党でくすぶる「パワハラ問題」めぐり玉木雄一郎代表がブチ切れ! 定例会見での一部始終

  2. 7

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  3. 8

    男子バレー小川智大と熱愛報道のCocomi ハイキューファンから《オタクの最高峰》と羨望の眼差し

  4. 9

    長女Cocomiに熱愛発覚…父キムタクがさらに抱える2つの「ちょ、待てよ」リスク

  5. 10

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ