【佐藤輝明】飛躍のウラにレジェンド金本知憲との共通項…スコアラー目線で徹底分析
1977年ドラフト5位で内野手として阪神入団、引退直後の82年から昨年まで43年間にわたり、スコアラーとしてチームを支えたのが飯田正男氏(66)だ。
プロ野球史上最速でリーグ優勝を果たした阪神の主力選手の思い出話を交えつつ、スコアラー目線で分析してもらった。1回目は、今季40本塁打、102打点で2冠を獲得、大きな飛躍を遂げた佐藤輝明(26)の巻──。
◇ ◇ ◇
──今季は本塁打、打点の2冠を獲得しました。
「何が良くなったのか、本当のところは本人に聞かないとわからないですけど、外から見ていて思うのは、今季は来た球を一発で仕留められているんじゃないかと思います」
──昨季は二軍落ちを経験するなど、スランプの期間が長かったですが、今季は安定して成績を残しています。
「輝の場合は、他の左打者とは相手バッテリーの配球が全く違いました。金本知憲元監督に近いかもしれません。現役時代はよく、『僕の時は相手の攻め方が違いますよね』と言っていた。輝の場合も、たとえば同じ左打者の中野や高寺とはたしかに攻め方が違う。長打があるので、インハイ真っすぐか、低めに変化球を落とすかという形で、極端な攻めになる。
たとえばAという投手がいる。そのA投手の左打者への攻め方というのは、当然、傾向、特徴があるわけですが、輝には全く攻め方が違いますので、参考にならないんです。スコアラーの立場としても、『どんな球種がありますか?』など、本人から聞いてくることには答えられても、言えることはどうしても限られる。相手の先発投手がフォークが得意なら、『フォーク中心で来る』『この投手は内角低めに落ちる球が来る』『緩い球を交ぜてくるかもしれない』というような感じでは伝えます」