鎌田大地〈後編〉「主軸というより潤滑油であり、リンクマン。いないと日本代表のボールが回らない」(東山高監督・福重良一)
「自分はクリロナにはなれない」と冷静に客観視
──忍耐力や献身性が身についたからこそ、23-24シーズンのラツィオでの苦境の乗り越えられたんでしょうね。
「あの時は、あるチームへの移籍がほぼほぼ決まっていたのに、いきなり破談になってしまいました。本人は『他にもオファーがいろいろありますから大丈夫です』と楽観的でしたけど、最終的には監督が代わって試合に出られるようになった。1年で英プレミアリーグにステップアップできたのもよかったです。どこへ行っても最初、苦労するのが大地。それはあの気難しさ、とっつきにくさによるところもあるかも知れない。でも英プレミアなどの舞台でいきなり活躍できる選手はほんの一握り。大地はまだ順応が早い方です。本人は決して焦ることはないですし、FAカップで優勝した時もそこまで喜びを爆発させていなかった。どんな時も淡々としていられるのが、彼の良さだと僕は見ています」
──3月のイングランド戦の時も「ウェンブリーは4回目です」とアッサリしていました。
「サッカーの『聖地だから頑張ろう』とか『観客が多いから頑張ろう』というのではなくて『自分が純粋に積み上げてきたことを楽しもう』と考えられるのが大地です。イングランド戦もそうでした。あの試合で三笘君(薫=ブライトン)と伊東純也君(ゲンク)がシャドウを組んでいい仕事をしましたが、彼らのようなスピードがないから、大地は『自分はボランチが適正ポジション』だと考えているんでしょう。世界トップ基準に照らしてみた時、自分はイブラヒモビッチにもクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)にもなれないという冷静な目線で、自分を客観視しているのは素晴らしいですね」
──となると2026年北中米W杯の鎌田選手はボランチが主戦場ですね。
「そう思います。彼がいないとボールが回らないという印象ですね。素晴らしい選手を繋ぎ合わせる潤滑油というのかな。中心とか主軸というより、リンクマンという表現の方が正しいと思います。本人は今年30歳になりますし、年齢的にも今大会が『代表キャリアの集大成』と考えているはず。おそらく佐野海舟君(マインツ)をコンビを組むことが多くなるでしょうけど、彼の良さを引き出しながら、自分も輝いてほしい。世界一や8強入りを実現するのはハードルが高いとは感じますけど、普段通りの強さを出せるように、彼には自然体でプレーしてほしいです」
(聞き手=元川悦子/サッカージャーナリスト、絹見誠司/日刊ゲンダイ)
▽鎌田大地(かまだ・だいち) 1996年8月5日生まれ、29歳。愛媛・伊予市出身。小学校卒業後は大阪・岸和田市の祖父母の家からG大阪のジュニアユースに進んだ。京都・東山高2年でプリンスリーグからプレミアへの昇格の原動力となり、卒業後に鳥栖に入団。2017年6月にドイツ・フランクフルトに完全移籍。18年にベルギーのシントトロイデンにレンタル移籍。フランクフルトから2023年8月、イタリア・ラツィオに完全移籍。翌24年7月に英プレミアのクリスタルパレスに完全移籍。フランクフルト時代に21/22年シーズン欧州ELを制覇、クリスタルパレス時代に英FA杯優勝と大舞台に強い。2019年5月に日本代表初選出。2022年カタールW杯全4試合に出場。16強入りに貢献した。身長180cm・体重70kg。
▽福重良一(ふくしげ・りょういち) 1971年1月30日、55歳。和歌山県出身。和歌山工業高から大阪体育大。京都紫光クラブ、京都サンガ、大塚製薬(現徳島)でプレー。現引退後は和歌山・初芝橋本高のコーチ。同高で元鳥栖監督、福岡監督の金明輝、東山高では元新潟の森俊介ら総勢20人以上のJリーガーを育てた。


















