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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

世の葛藤を超えた全仏の涙と笑いの幕切れ…ズベレフ悲願のVに映ったテニス界の光と影

公開日: 更新日:

 テニスの4大大会第2弾、全仏オープンが終わった。

 女子は19歳のアンドレーワ(ロシア)が予選上がりのフワリンスカを退け、男子はズべレフが念願のメジャー初優勝。4度目の決勝で悲願達成し、感動の幕切れになった。

 29歳のチャンピオンは14歳でツアーに初挑戦、19歳の初優勝からこれが通算25勝目。198センチの長身からのサーブと絶妙なボールコントロールを持つが、フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3強、それに続くシナーとアルカラスの新2強の壁に阻まれてきた。

 そのアルカラスが欠場、シナーが体調不良で姿を消した今回はチャンス、本人もそう思っていたはずだ。

 が、24歳のコボッリとの決勝は6-1と幸先良くスタートしながら最終5セットまでもつれた。全仏のクレーコートは球速がそがれ足場は滑り、絶妙なドロップショットに翻弄される嫌な流れ。ズべレフの正統派テニスは相手の長所も引き出すから、簡単には終わらない……さまざまなシーンが頭に浮かんだだろう。

 全仏の帝王ナダルに挑んだ2022年の準決勝は6-7、6-6と3時間13分を戦ったところで靱帯の断裂、車椅子で退場。リベンジした24年の1回戦はナダルの全仏ラストマッチで、決勝はアルカラスに逆転負け。ティームとの全米決勝でも、2セットリードから最後はタイブレークの大逆転負け……。そんな昔を振り切って栄冠を掴みとり、赤土のコートに伏して激しく泣いた。テニスは単純な規則に複雑な背景をはらんでいる──。

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