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藤江直人ノンフィクションライター

1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「SPORTS Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーW杯は22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

露呈したJFAの迷走…退任通告から一転の「不可解人事」は森保監督への敬意を欠いている

公開日: 更新日:

宮本会長が迷走した背景

 しかし、7月上旬にサウジアラビアのアル・ナスル監督に就任したポステコグルー氏の年俸は日本円で約20億円。森保監督の約1億6000万円と桁がひとつ違う上に、行動を共にする腹心のスタッフ数人の人件費もさらに加わってくる。

 2026年度予算で約31億円の赤字を見込むJFAとしては、とてもじゃないが手を出せる状況にない。 宮本会長が迷走した背景には、外国人に比べれば安価となる日本人監督路線の継承以外に道がなかった財政的な事情も見え隠れする。

 さらに宮本会長は、ロサンゼルス五輪を目指す年代別日本代表を率いる大岩剛監督に、来年3月からA代表との兼任で指揮を託す理由をこう説明した。

「長く指揮を執るメリットとデメリットの両方がある。その意味で新しい空気もどこかのタイミングで必要だと考え、大岩監督にお願いしたいと伝えました」

 しかし、9月から10月にかけての国際Aマッチデー期間は、U-21代表が出場する愛知・名古屋アジア競技大会と日程がほぼ重複する。

 11月の国際Aマッチデー期間には、U-21代表が海外遠征を実施する方向で調整が進められている。

 こうしたドタバタ劇もあって森保監督の半年間の続投が決まった。

 最大で13試合の指揮を執る森保監督はしかし、目標として選手と共有していたはずの「優勝」を逃した北中米W杯の総括や責任にほとんど言及していない。

 むしろ大岩監督への「繋ぎ」を受諾した理由に対してこう語っている。

「4年であれ、2年であれ、1年であれ、半年であれ、私自身は2050年までに日本がW杯で優勝するという、川淵さんが宣言された目標に向けて、自分に与えられた契約期間の中でやるべきことをやっていくだけだと思っています」

 JFAの第10代会長、川淵三郎氏が2005年元日に発表した「JFA2005年宣言」を記者会見で持ち出し、そのなかの「JFAの約束2050」で掲げられた「FIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表チームはその大会で優勝チームとなる」と言及した場面では、あまりの唐突ぶりに違和感を覚えずにはいられなかった。

 対照的に北中米W杯を戦った選手たちは悔しさを糧に、少しでも頂点に近づこうと捲土重来を期している。

 JFAの上層部で見られた迷走ぶりと総括の跡が見られない曖昧さ、そしてチーム内に生まれそうな目標設定に対するギャップが、新たなスタートを切る日本代表に影を落とさないか。

 不安の種は尽きない。

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