「メルトダウン 連鎖の真相」NHKスペシャル「メルトダウン」取材班著
<あのとき、原発で何が起き、関係者はどう動いたのか>
福島第1原子力発電所の事故がなぜ起き、食い止めることは本当にできなかったのかを問う渾身のテレビドキュメンタリーシリーズの書籍化。前代未聞の事態に対応した現場の作業員をはじめ、東電幹部や研究者など、400人以上の証言をもとに、現場で何が起きていたのかを詳細に再現し、検証する。
周知のように連鎖の発端は、外部電源の喪失だった。原子炉の運転操作を行う中央制御室や、事故対応の指揮を執る免震重要棟、そして東電本社で、どのような報告・情報が交わされ、それぞれが何を考え、そしてどのような指示、行動をしたのかを時系列で追う。すると、非常用の冷却装置が起動していなかったことに気づくチャンスを何度も逃していたことや、メルトダウンを食い止めるはずの安全装置「SR弁」の逆説的な欠陥、そして注入したはずの水が原子炉に届かず横漏れしていたことなど、事故の分かれ目ともいえる事実が見えてくる。
津波や爆発で破壊されたプラントの生々しい様子や、建屋爆発直後に死を意識して反射的に仲間たちにカメラを向けた写真など、東電から提供された映像をはじめ、番組で使用されたCGなどが多数収録され、現場の緊迫感を伝える。