「産地偽装のカラクリ」別冊宝島2098

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■中身不明のブレンド米でも合法的に国産米となる!?

 昨年末、大阪の名門・阪急阪神ホテルズから発覚した一連の食品偽装問題が世間を賑わせた。船場吉兆が偽装によって廃業に追い込まれた事件から6年。食品の偽装はなぜなくならないのか。

 別冊宝島2098「産地偽装のカラクリ」(宝島社 838円)では、食品流通の盲点となる産地の偽装について解説。食品ごとの偽装の手法や、日本の複雑すぎる食品表示関連法なども詳しく分析していく。

 中でも、日本人の主食であるコメの偽装は、根が深く歴史も長いという。昨年10月に発覚した三重県の三瀧商事によるコメ偽装問題では、外国産米や加工用米を国産コシヒカリに混入するという手口で、国内過去最大の約4386トンを偽装していたという。そして、そのコメは流通大手のイオンでも販売されていた。

 偽装を生む最大の原因が、産地表示基準の欠陥だ。現在、ブレンド米には内訳表示が義務付けられておらず、ブレンドしたコメの産地も産年も表示する必要がない。国産のコメに、本来食用には向かない加工米や超古米などをブレンドしても、国産米として合法的に出荷できてしまうのだ。実は、コメ業界ではこの欠陥を利用した偽装が30年以上も前から行われてきたのだという。三瀧商事の場合はやりすぎ、目立ちすぎただけ。“少しだけ”得をするような偽装を行う業者はいくらでもいると本書。

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