物語人生論「心の力」が話題 姜尚中氏に聞く

公開日: 更新日:

 東日本大震災からまもなく3年。景気回復のスローガンのもと、不確実な未来予測にあくせくしながら生きている現代人にとって、いま本当に必要な「心の力」とは何か。夏目漱石の「こころ」と、ドイツの文豪トーマス・マンの「魔の山」という100年前に書かれた東西のふたつの書から、今の時代を生きるためのヒントを引き出した本書「心の力」(集英社 720円)を上梓した姜尚中氏に話を聞いた。

■凡庸な人間の中にこそある「心を太く育てる力」

 題材となっている夏目漱石の「こころ」が刊行されたのは、第1次世界大戦勃発の年(1914年)。一方のトーマス・マンの「魔の山」は物語自体が第1次世界大戦の戦闘場面で終わっており、双方とも「心が失われ始めた時代」の中で、もがきながら生きる青年が主人公として描かれているという共通点がある。

 本書は、この東西2冊の書の主人公たちがその後に出会うという設定の小説を姜氏自身が創作し、エッセーと交互に登場させるというユニークな構成だ。その2人の主人公の物語から、混迷の時代の生き方を探す「物語人生論」と銘打っている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較