物語人生論「心の力」が話題 姜尚中氏に聞く

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 役に立つかどうかだけを問い、効率化を求めて生きる現実世界とは別のもうひとつの世界として、「魔の山」ではスイスアルプスのダボスにある結核サナトリウムが描かれ、「こころ」では主人公と先生の対話の場面が描かれていると姜氏はいう。

「強者の論理ばかりが声高に唱えられる世の中で、ごく普通の人が生き延びるのに役立つ安易なサプリメントはないかもしれません。けれど、一見モラトリアム的にしか見えない『ダボス的時間』や、人々が目もくれない誠実で凡庸な人間の中にこそ、心を太く育てる力が眠っているように思います」

◇カン・サンジュン 1950年生まれ。聖学院大学全学教授、東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。著書に「悩む力」「続・悩む力」のほか、「マックス・ウェーバーと近代」「オリエンタリズムの彼方へ」など。小説作品には「母―オモニ」「心」がある。

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