「WindowScape2」東京工業大学、塚本由晴研究室編、塚本由晴、能作文徳著
■反復する窓から街並みを考える
世界各地の卓越した街並みを紹介しながら、それらを構成する重要な要素のひとつである窓の進化の過程や役割を考察したビジュアルテキスト。
最初に登場するのはヨーロッパの街並み。
縦長のフレンチウインドーが規則的に反復するパリ「リボリ通り」や、美しく組み上がった白い格子から「クリスタル街道」とも呼ばれるスペインの高級住宅街ア・コルーニャの「ラ・マリーナ通り」、間口は違うのに、柱間の間隔がほぼ同じために窓の反復のリズムがそろったドイツのハンミュンデン「ツィーゲル通り」など。
窓の貢献度を検討するため、建物を真正面からとらえた連続写真を再構成して、街並みの全体像を概観できるようにした映像は、日常の視線とは少し異なり、絵画的でさえある。
それぞれの立面構成を読み解きながら、地域の気候風土に対応するため試行錯誤を繰り返し、一定の形へと洗練されてきた窓が、住人の「個」の存在を象徴する一方、街路空間で反復集合することで、「公」を象徴するものとなり、街独自の統一感のある通りの景観を生み出す理由を解説する。