「弱さの思想」高橋源一郎、辻信一著
■「弱さ」を必要としている現代社会
社会的「弱者」の持つ「弱さ」の中に新しい社会の可能性を探ろうと、一緒に「弱さの研究」を重ねる2人が、その成果を語り合った対談集。
高橋氏は、病気の後遺症で軽い障害が残った息子の看護体験と、病気の子供を抱える母親たちとの会話から、「弱くてなんの力もない、面倒をかけるだけの存在の人たち」が周囲に力を与えていることを知り、「弱さ」というものには何か秘密があるのではないかと思ったという。3・11を機に訪ねた原発反対運動の地「祝島」や、イギリスの子供のホスピスなど、各地で行ったフィールドワークを報告しながら、弱さとは何か、そして現代社会がなぜ弱さを必要としているかを解き明かす。
(大月書店 1600円)