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「限界マンション」米山秀隆氏

投稿日:  更新日:

 日本各地で今、管理されていない空き家の増加が社会問題となっている。総務省の調査によれば、2013年の空き家戸数は全国で820万戸。前回調査の2008年と比較すると63万戸も増加し、その内訳では一戸建ての空き家が79%を占めている。

「空き家問題は今のところ、一戸建てが中心となっています。しかし、実は近い将来により深刻化するのが、分譲マンションの空き家問題だと考えられます。2014年時点で、全国のマンションは613万戸ありますが、すでに古い物件ほど空室率が高くなっています。1970年以前に建てられたマンションのおよそ21%に、2割から5割程度の空室が見られ、5割以上が空室になっている物件も、3%に上っているのです」

 日本全国のマンションのうち、1981年6月以前に建てられた旧耐震マンションは、106万戸にもなる。さまざまな統計調査で、築40年が過ぎるとマンションの空室率は急激に高くなっていくことが分かっている。今後、居住者が激減して管理が行き届かなくなり、“スラム化”に至る“限界マンション”が、各地に増えてくることが予測できるのだ。

「老朽化したマンションでも、建て替えによる住み替えなど対処法がないわけではありませんが、建て替えはディベロッパーの協力なくしては困難であり、ディベロッパーはビジネス上のメリットがなければ協力はしない。容積率に余裕があって従前よりも多くの部屋を造ることができたり、立地が非常に良いなどの条件がそろっていない限り、難しいでしょう」

 ディベロッパーに頼らず、居住者が自力で建て替えを行う方法もあるが、問題は資金面だ。これは、建て替えを行わず、区分所有権を解消して解体を行う際にも同様で、解体費用が捻出できなければ、各地に老朽化物件が放置される恐れもある。

「あらかじめ解体費用を積み立てておいたり、固定資産税による解体費用の事前徴収などの対策も考えられます。しかし、所有者の負担が増えることが難点です」

 現在、一戸建ての空き家問題に対しては自治体が費用を補助するケースも増えてきた。しかし、マンションの解体費用は一戸建ての比ではなく、行政でも簡単に負担できるとは限らない。

「本書は、マンションを購入した人にとっては後悔を抱かせる内容かもしれませんが、区分所有者が維持修繕に責任を持ち、管理組合を機能させて資産価値を維持する取り組みを行うなど、できることもあります。しっかりとしたコミュニティーが形成されていれば、スラム化を防げる可能性も高くなります」

 東京都などですでに行われた建て替えの事例や、諸外国におけるマンション終末期の対策なども紹介。現在マンション住まいの人、そしてこれからマンション購入を検討している人も必読だ。

(日本経済新聞出版社1600円+税)




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