「ひとりの記憶」橋口譲二著

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 妻を亡くした笠原晋氏は召集を受け、2人の娘を親戚に預けて陸軍兵士としてシンガポールに渡った。薬剤師だったため病理研究所に配属され、薬草園で薬草を栽培したりしていた。

 終戦後、朝鮮人慰安婦を朝鮮に移送する付き添い送り人に指名されたが、船に乗ったら殺されると思い、逃亡する。

 原爆投下などのニュースを耳にしたことから、日本に帰国しても仕方がないと考え、どうせ死ぬならインドネシアの独立戦争で死のうと、人民軍に参加して戦った。

 他に、戦後、従軍看護婦として中国の八路軍に参加、そのまま中国に残った女性など、日本に帰らない選択をした10人の生き方を描いたノンフィクション。(文藝春秋 1700円+税)



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