著者のコラム一覧
坂崎重盛編集者、エッセイスト

1942年、東京都生まれ。編集者、エッセイスト。千葉大学造園学科で造園学と風景計画を専攻。著書に、「東京煮込み横丁評判記」「『絵のある』岩波文庫への招待」「粋人粋筆探訪」など多数。BSジャパンの「酒とつまみと男と女」に出演し、不良隠居として人気に。

「大衆酒場の達人」久住昌之ほか著

公開日: 更新日:

写真を見ているだけで腰が落ち着かなくなる

 春が来て散歩シーズン、呑み日和になったせいか、気合の入った酒場本が目につく。

 入手したのは、「散歩の達人 20周年記念企画 酒場100軒」と「大衆酒場の達人」の2冊。どちらも、この3月の刊行でムック形式のビジュアル本。「酒場100軒」は「その道のエキスパート100人が、“心の一軒”を選ぶ」という呑み紳士録的構成。不肖シゲモリも参戦。

 そのすぐ後に出たのがこの「大衆酒場の達人」。表紙でホッピー、キンミヤの大ジョッキを手にうれしそうな顔をしているのは「ホッピーマラソン」の大竹聡大人ではないですか! 登場する他のメンツもすごい。「孤独のグルメ」の久住昌之、「KING OF POP」の江口寿史、ビール通にしてミスマッチビール“変態飲み”提唱者・柳沢きみお、そして無頼派芥川賞作家・西村賢太という豪華キャスト。

 巻頭の「東京煮込み三十六景」に目が吸い寄せられる。麻布十番の「あべちゃん」、秋葉原の「赤津加」、森下の「山利喜」……それぞれ味は微妙に異なるが、確かに煮込みの名店だ。写真を見ているだけでも、腰が落ち着かなくなる。おや、浅草の「さくま」が入ってないな。取材を断られたかな。そうか、月島の「岸田屋」、立石の「宇ち多゛」、門前仲町の「大坂屋」もない。なるほどネームに「撮影を申し込んだものの丁重に断られた」とある。

 そうでしょうね。煮込みのうまい居酒屋は例外なくいい大衆酒場ですから人気店、スッと入れればラッキーというもの。

「もつ焼き番付」もすごい! 番付編成は「もつマニア」の浜田信郎、「ぶらり食記」の藤原法仁、「至高のはらわた」の天羽正登。この3者が揃って横綱に挙げているのが立石の「宇ち多゛」!

 他に「せんべろ酒場ベスト20」「東京23区内で朝・昼から呑める店リスト」などなど。まさに徹頭徹尾酒場満喫本!(宝島社 1000円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ