意外や、ビートルズのサインのほとんどは本人たち

公開日: 更新日:

「ビートルズ来日学」宮永正隆著(DU BOOKS 2500円+税)

 20世紀を代表する偉大なバンド、ビートルズが半世紀前一度だけ来日した。

 深夜、羽田空港に降りたってから日本武道館で計5回のライブをやり離日するまでの103時間に及ぶビートルズの行動スケジュールは、あらゆる方面から研究、考察されてきた。もう新しい事実は出てこないだろうというほど掘り起こされた感があったが、まだまだ103時間の行動には謎が多いことが本書でわかった。

 ビートルズ熱にうなされて46年に及ぶ私でも、初めて見る写真と事実がこれでもかと網羅されている。

 宿泊先のヒルトンホテルで撮影されたポラロイド写真には、ホテルの日本人メイドたちとジョージが写っている。撮影者はなんとジョン!

 ビートルズのサインはほとんどがロードマネジャーや広報担当の代筆とされるが、驚くべきことに、先のポラロイド写真の裏側のジョージのサインも、来日時に色紙、レコードジャケット、扇子等々にサインされたものもすべて本人たちの直筆と鑑定された。

 ビートルズの4人が生まれて初めて接する東洋の国と人々に、好奇心と好意を抱いていることがよく伝わってくる。

 ところで、日本武道館公演の警備が史上空前の厳しさだった、ということはいまや定説となっている。だが前座出演した尾藤イサオ、内田裕也の両名がビートルズの演奏をステージ下のすぐ目の前でパイプ椅子に腰かけ足を組み見ている写真がある。

 当時の日本テレビスタッフの証言――。

〈うん。だから、あの警備は何が目的なのか、わかんなかったですよね。「警備はめちゃくちゃ緩かった」っていうのは、僕も聞いたことがありますよ〉

 水も漏らさぬ警備網といっても必ずどこか漏れがあるものだ。

 大丈夫か、東京オリンピック。

【連載】裏街・色街「アウトロー読本」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは