「天災と日本人」畑中章宏著

公開日: 更新日:

 日本各地の災害現場を歩き、土地に記憶された風習や伝承、信仰などを読み解きながら、天災と日本人の関係を考察した災害民俗学テキスト。

 平成26年、広島市安佐南区で74人が犠牲になった豪雨による土石流災害。同地区を含む阿武山一帯は古代から自然信仰の神の山としてあがめられ、中世以降は観音信仰の聖地だったという。奈良の長谷寺の十一面観音の縁起などを紹介しながら、各地に造立された数々の十一面観音像が治水や利水の象徴であることを明らかにしていく。

 その他、東日本大震災の被災地を歩く「地震と津波」、御嶽山噴火が記憶に新しい「噴火・山体崩壊」、そして「雪害・風害」まで。

 古代から現在まで日本人が災害とどう向き合ってきたかをたどる。(筑摩書房 820円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち