「天災と日本人」畑中章宏著

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 日本各地の災害現場を歩き、土地に記憶された風習や伝承、信仰などを読み解きながら、天災と日本人の関係を考察した災害民俗学テキスト。

 平成26年、広島市安佐南区で74人が犠牲になった豪雨による土石流災害。同地区を含む阿武山一帯は古代から自然信仰の神の山としてあがめられ、中世以降は観音信仰の聖地だったという。奈良の長谷寺の十一面観音の縁起などを紹介しながら、各地に造立された数々の十一面観音像が治水や利水の象徴であることを明らかにしていく。

 その他、東日本大震災の被災地を歩く「地震と津波」、御嶽山噴火が記憶に新しい「噴火・山体崩壊」、そして「雪害・風害」まで。

 古代から現在まで日本人が災害とどう向き合ってきたかをたどる。(筑摩書房 820円+税)

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