傑作長編 思春期特有の妄想で世界を形成

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 思春期の娘をもつ親は、どこまで介入すべきか。特に、社交的とはいえず、反抗的でもない、何を考えているのか、測りかねる物静かな娘に対して。

 主人公は大学に進学して親元を離れた娘。女子寮に入り、家族以外の人間と触れることで、他人との距離感を学んでいく。思春期特有の妄想力で自分だけの世界を形成しつつも、自分が何者なのかを問い続ける。

 父親は作家(ただし、1冊しか本を出していない)で外ヅラはいいがプライドも高い。評価されない自分を棚に上げ、娘の書く手紙や小説を批評し、精神的に干渉する。娘はそんな父が「自分の欠陥を娘でなおそうとしている」と看破している。

 一方、母親は夫に振り回される不満が蓄積。娘に「父のような男と結婚してはいけない」と諭す。情緒不安定で呪詛(じゅそ)を垂れる母に対し、娘は冷静だ。舞台は米国だが、日本でもよくある家族の実態をあぶり出す。また、教え子に手を出す大学教授と、その悪癖に悩んでアルコールに溺れる妻という俗物の登場が、色を添える。

 冒頭とラストのミステリアスな運びに一瞬戸惑うが、後からジワジワと効いてくる。タイトルのまがまがしさとは異なり、読後感は意外と爽やかだ。本邦初訳。

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「貧困の発明」
タンクレード・ヴォワチュリエ著
早川書房 3000円+税

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