【宗教】欧州世界を覆う反ユダヤ主義の起源

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 旧約聖書がユダヤ教およびキリスト教の正典であることは周知だ。ことにユダヤ教徒にとっては自分たち民族の精神的な基盤とされている。ところが、その聖書の中でもっとも崇敬される指導者が、ユダヤ人ではなくエジプト人だったとしたら?

 一見、荒唐無稽に思えるかもしれないが、実はヨーロッパ世界においては、古来この説が脈々と語り継がれてきたのである。本書は、この説がどのようにして生まれ、それが人々の記憶にどう受け継がれてきたのかを明らかにしたもの。といって、いわゆるトンデモ本ではなく、極めて学術的な研究書である。

 著者が着目するのは紀元前14世紀、多神教を旨とした古代エジプト王朝に突然出現した一神教。この一神教革命は短期のうちについえるのだが、その精神はユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ継承され、排他的な一神教が確立される。またヨーロッパ世界を覆う反ユダヤ主義の起源ともなっている……。著者はこうした系譜を、文献史学ではなく記憶史というユニークな方法で論述していく。知的興奮に満ちた書。

★先週のX本はコレでした
「絞首人」
シャーリイ・ジャクスン著
文遊社 1800円+税

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