「普天を我が手に 第一部」奥田英朗著
「普天を我が手に 第一部」奥田英朗著
天皇崩御で元号が変わった大正15年12月25日、陸軍少佐・竹田耕三に息子が生まれた。娘3人の後の待望の男子で、「志郎」と名づけられた。
同じ日、金沢の博打打ち・矢野辰一が懇意にしていた社長から預かっていた女工が、男子を産んで命を落とした。辰一はその子「四郎」を自分の手元で育てることにする。
東京では、進歩的な女性誌「群青」の編集者、森村タキが、妻子ある学者の子どもを産んだ。女子だったので、ノルウェーの劇作家・イプセンの「人形の家」にちなんで「ノラ」と名づけられた。
そして、中国・大連で、トランペット吹きの五十嵐譲二に息子「満」が生まれる。
7日しかなかった昭和元年に生まれた4人の運命が交差する大河小説の第1部。 (講談社 2695円)