【ブラックユーモア小説】貧困を食い物にする開発経済学者たちの内幕

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 経済学者が書いた小説と聞けば、お堅い内容かと思ってしまうが、いい意味で予想を裏切ってくれる。何しろいきなり、ある海洋生物学者の勃起した性器の拡大写真が、あちこちの研究室で回覧されているという場面から始まるのだ。

 このスキャンダルで学者は辞表を提出、離婚調停のために弁護士を訪れる。続いて舞台は、国連の貧困撲滅プロジェクトに関わる経済学者のケープコッドでの豪勢な結婚式に移る。相手は任地先のベトナムで知り合った絶世の美女で、彼自らが貧困から救い出した格好だ。貧困問題と贅の限りを尽くす結婚式という奇矯な組み合わせは、物語が進むにつれ増幅していく。世界の貧困者数は減少の傾向にあり、このままでは豊かな国はアイデンティティーを失い、貧しい国は援助を受けられず、ひいては世界経済が収束してしまう。何とか貧困者の数を増やさなくてはいけない……。

 ここに至って、この小説が実は変種の経済小説であることが見えてくる。貧困を食い物にする開発経済学者たちの内幕を痛烈に描き、国連内の腐敗ぶりをも暴いている。

★先週のX本はコレでした
「待つ女」
マリー・ダリュセック著
藤原書店 2400円+税

【連載】書名のない書評「ゲンダイX本」

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