政党混乱、扇動政治家が暗躍 「分断される社会」を生きる

公開日: 更新日:

「アメリカ分裂」井田正道著

 政党は混乱し、扇動政治家が暗躍し、社会は監視とイデオロギー対立でズタズタ。そんな分断社会の現代を読み解く――。

 社会の随所で対立が深刻化するアメリカ。単に共和・民主の2大政党が政治的に対立しているだけではない。党派対立に加えて隠れていた人種憎悪や階級反目までがあらわになっているのだ。

 その最大のきっかけはやはりトランプ当選。本書は3年前までアメリカ南部の大学に在籍した政治学者による“大統領選を通して見たアメリカの分断状況”の分析。

 特徴は国勢調査をはじめとする各種の統計データを使って読み解いていること。例えば、2012年大統領選の人種別投票率では白人の投票率(64・1%)を黒人が初めて上回って最上位(66・6%)となった。有権者の総数自体で、白人は長期低下傾向にあり、「白人国家」からの転落を予想させるが、12年選挙の時は現職のオバマが保守の反撃で苦境にあったことで黒人票が団結した反映とも考えられるという。

 諸統計でも共和党は「白人の党」であることが明白。トランプ当選は結局、白人社会の不安と危機感を映す人種分断の表れでもあったわけである。(丸善出版 1900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  2. 2

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  3. 3

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  4. 4

    フジ経営陣から脱落か…“日枝体制の残滓”と名指しされた金光修氏と清水賢治氏に出回る「怪文書」

  5. 5

    【萩原健一】ショーケンが見つめたライバル=沢田研二の「すごみ」

  1. 6

    中居正広氏の「性暴力」背景に旧ジャニーズとフジのズブズブ関係…“中絶スキャンダル封殺”で生まれた大いなる傲慢心

  2. 7

    木村拓哉の"身長サバ読み疑惑"が今春再燃した背景 すべての発端は故・メリー喜多川副社長の思いつき

  3. 8

    大物の“後ろ盾”を失った指原莉乃がYouTubeで語った「芸能界辞めたい」「サシハラ後悔」の波紋

  4. 9

    【独自】「もし断っていなければ献上されていた」発言で注目のアイドリング!!!元メンバーが語る 被害後すぐ警察に行ける人は少数である理由

  5. 10

    上沼恵美子&和田アキ子ら「芸能界のご意見番」不要論…フジテレビ問題で“昭和の悪しき伝統”一掃ムード