「日本一の女」斉木香津著
菜穂子は、曾祖母サダの三十三回忌のために、大分の実家に帰省。曾祖母が死んだ翌日に生まれた菜穂子は、自分はサダの生まれ変わりだと感じていたが、そう言うと両親や祖父母は、必ず嫌な顔をした。
サダは家族の嫌われ者だったのだ。菜穂子は、生前のサダを知る菩提寺の先代住職から、誰も教えてくれなかった彼女の人生について話を聞くことに。臼杵の裕福な穀物商の長女に生まれたサダは、秀吉似のサル顔と歯に衣を着せぬ物言いで疎まれ、遠くの百姓家に嫁に出される。しかし、持ち前の頭の良さで実家から資金を引き出し、精米所を設立。家業を継いだ兄や良家に嫁いだ妹に負けじと働き、男の子ばかり9人を産み育てたという。女太閤と呼ばれたサダの人生を描く一代記。
(小学館 600円+税)