最新サスペンス本特集

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「絶叫」葉真中顕著

 謎をじっくりと解き明かすミステリーは読書の醍醐味の一つだが、ハラハラ、ドキドキが最後の1ページまで続くサスペンスも捨てがたい。ということで、今週は五月病も吹っ飛ぶ、サスペンス5冊を紹介する。

 国分寺駅近くの単身者向けマンションで変死体が見つかった。遺体は居住者の鈴木陽子と思われたが、死後数カ月が経っている上に、飼い猫に食べられた痕もあり、死因も分からない。陽子の身辺を調べる所轄署の刑事・綾乃は、戸籍で彼女が結婚と離婚を繰り返していたことを知る。その上、結婚相手は最初の夫・山崎以外、3人とも死んでいた。

 綾乃の捜査と並行して、江戸川区鹿骨でNPO法人の代表が殺害された事件の概要について、関係者の証言が記される。さらに第三者の視点で、幼少のころからの陽子の人生が詳細に描かれるという凝った構成で、女の幸せを求めた陽子の人生と社会の闇を描き出す。(光文社 920円+税)

「アンダーカバー秘密調査」真保裕一著

 28歳のカリスマ経営者・戸鹿野は、フィリピンでヘロイン密輸容疑で逮捕される。ヘロインは恋人が前日に買った土産物に隠されており、戸鹿野にはまったく身に覚えがなかった。創業者の逮捕で会社は破綻、25年の刑を言い渡された戸鹿野は、無法地帯の刑務所内で生き残りを図りながら、自分をワナにはめた人物を捜す。

 5年半後、テレビ局記者の美香子は、戸鹿野が釈放されたと聞き、彼の行方を捜すが見つからない。さらに1年半後、戸鹿野は別人になりすまして帰国し、事件の真相を追い始める。同じころ、ユーロポールに出向中のイギリスの捜査員・ジャッドは、マフィア幹部殺害事件を追っていた。

 日本・フィリピン・イタリアへと目まぐるしく舞台を移しながら展開するワールドワイドなサスペンス巨編。

(小学館 780円+税)

「眠る狼」グレン・エリック・ハミルトン著、山中朝晶訳

 ドイツ駐留中の陸軍レンジャー部隊の軍曹バンは、祖父ドノからの手紙を受け取り、10年ぶりに生まれ育ったシアトルに降り立つ。

 しかし、到着した家では祖父が頭を撃たれて倒れていた。病院に搬送されたドノは一命をとりとめたが、意識が戻るかは分からない。バンは、犯人を突き止めるため、ドノの仕事仲間ホリスに連絡をとる。

 ドノの仕事は泥棒だった。しかし、ホリスによるとドノは最近、仕事をしていなかったという。ドノの隠し部屋で書類を調べたバンは、祖父が最近、偽名で高速モーターボートを入手していたことを知る。ボートを調べるとスキューバ用具一式が積み込まれていた。

 ミステリー賞3冠を制したアメリカの新人作家による衝撃のデビュー作。

(早川書房 1140円+税)

「警視庁極秘捜査班報復遊戯」南英男著

 警視庁の非公式組織・捜査1課別室極秘捜査班の剣持ら4人は、厚労省の元官僚で独立行政法人の理事長・春名とキャバクラ嬢すみれの変死事件の捜査に着手。2人は乗った車が陸橋の橋脚に激突して即死だったが、その後の調べで2人には麻酔が注射されていたなど、不審な点が浮かび上がったのだ。死んだ2人は、それぞれ人をダマして甘い蜜を吸う悪人だったが、生前に接点はなかった。

 やがて、すみれに貢いでいた鷲塚という男が、勤務先の金を5億6000万円も横領していたことが判明。しかし、当の鷲塚は自殺体で見つかる。そんな中、剣持は何者かに命を狙われる美人弁護士・未咲と知り合う。

 はみだし者の刑事たちが、事件の背後にいる黒幕を引きずり出す長編エンターテインメント。(徳間書店 660円+税)

「誉れ高き勇敢なブルーよ」本城雅人著

 サッカーJ3のチームでGMを務める望月を、日本サッカー協会の会長・波佐間が訪ねてきた。W杯最終予選2試合を残し、代表監督を交代させるので、後任監督を選び、交渉をまとめろというのだ。

 3年前、協会の技術委員長だった望月は、後にセリエAの名門チームの監督となったピネイラとの交渉をまとめたが、寸前にマスコミにすっぱ抜かれ、契約が流れ、責任をとって協会を去っていた。与えられた猶予はわずか25日。望月は日本代表をW杯で優勝を目指すチームに成長させることができる監督を獲得するため、極秘裏にスペインに飛ぶ。

 マスコミや代理人、協会幹部など、それぞれの思惑が交錯する代表監督選任の裏側を描くスポーツサスペンス。

(講談社 880円+税)

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