「宇喜多の楽土」木下昌輝著

公開日: 更新日:

 手段を選ばない策略で備前の国の大名にのしあがった宇喜多直家は、毛利との戦いが正念場を迎えようとしていた大切な時期に全身から血膿を吹き出す奇病にかかり、床から起き上がれない毎日を送っていた。後継とされる八郎(のちの秀家)は、自分には父のような才はないと出家を望んだが、死の間際の父から干拓中の地を民が健やかに暮らせる楽土にしたいという思いを聞かされ、干拓事業を引き継ぎ、宇喜多家のために人生をかけることを決意する。

 乱世には不利な優しさを持った秀家は、さまざまな秀吉の命に翻弄されつつ、父とは違う方法で生き残りをかけた戦いに挑み始めるのだが……。

「オール讀物」新人賞などの各賞を総なめにしたデビュー作「宇喜多の捨て嫁」の続編。

 本作では父のようにはなれないと悩む息子・秀家が、理不尽な要求やさまざまな宿敵と出会いながらも理想を貫こうともがく様子が描かれる。

 絶体絶命の状況下での、豪姫との絆にはほっとさせられる。

 (文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈46〉斉藤清六が泣きながら持ってきた1000万円、追い返そうと思って貯金額を聞いたら驚いた

  2. 2

    ドジャース西地区5連覇に29球団から怨嗟の声 「カネもアタマもあってズルまでしてりゃ勝って当然」

  3. 3

    中森明菜が完全復活 結果的に長期休養がその価値を上げたが、応えられるだけの資質を持っていた

  4. 4

    尾野真千子がNHK朝ドラ返り咲き! 沖縄と東京を行き来する「女優」と「女将」二刀流ワンダフルライフ

  5. 5

    ドジャースは“大谷抜きポストシーズン”を想定か…指定席「1番・DH」に21歳デポーラ

  1. 6

    ソフトバンク3連覇でも“札束攻勢”止まらず…今オフ仕掛ける「補強リスト」仰天の中身

  2. 7

    参院のドン放逐で「消費減税」窮地の高市首相に公明党が“助け船”? 現金給付「前倒し」が賛成条件か

  3. 8

    阪神・佐藤輝明のドジャース入りに暗雲か? 大谷翔平が思わぬ“遠因”になる可能性

  4. 9

    日本ハム新庄監督がソフトバンク3連覇の“MVP” 挑発ことごとく空回りで5勝18敗2分け、最後までVアシスト

  5. 10

    クレイジーケンバンド横山剣さん「年に関係なく、カッコいいものはカッコいいって思いますね」