「宇喜多の楽土」木下昌輝著

公開日: 更新日:

 手段を選ばない策略で備前の国の大名にのしあがった宇喜多直家は、毛利との戦いが正念場を迎えようとしていた大切な時期に全身から血膿を吹き出す奇病にかかり、床から起き上がれない毎日を送っていた。後継とされる八郎(のちの秀家)は、自分には父のような才はないと出家を望んだが、死の間際の父から干拓中の地を民が健やかに暮らせる楽土にしたいという思いを聞かされ、干拓事業を引き継ぎ、宇喜多家のために人生をかけることを決意する。

 乱世には不利な優しさを持った秀家は、さまざまな秀吉の命に翻弄されつつ、父とは違う方法で生き残りをかけた戦いに挑み始めるのだが……。

「オール讀物」新人賞などの各賞を総なめにしたデビュー作「宇喜多の捨て嫁」の続編。

 本作では父のようにはなれないと悩む息子・秀家が、理不尽な要求やさまざまな宿敵と出会いながらも理想を貫こうともがく様子が描かれる。

 絶体絶命の状況下での、豪姫との絆にはほっとさせられる。

 (文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 2

    黒川紀章設計「戦没者慰霊塔」も丹下健三設計「香川県立体育館」も解体…財政難で維持できなくなった名建築

  3. 3

    石原プロ「炊き出しの流儀」 被災地一番乗りがエラいわけではない

  4. 4

    支持率急落の高市政権がV字回復画策 内閣改造でクビ切り不可避な“ポンコツ”5大臣の名前

  5. 5

    「VIVANT」1強ムードの陰で…蒼井優「Tシャツが乾くまで」が呼び覚ます"連ドラ本来の快感"

  1. 6

    横浜流星「BL作品興味なし」発言に滲むプロ意識 「べらぼう」後初の民放連ドラ主演で注目

  2. 7

    2026夏の甲子園「優勝校はココだ!」 本紙と専門家が徹底予想、“対抗”含む5校を紹介

  3. 8

    有名アナウンサーの現地取材や、報道ヘリコプターによる空撮に賛否がありますが、震災中継のあり方をどう思いますか?

  4. 9

    毒ヘビに噛まれた妻を救った夫の機転が米国で話題

  5. 10

    「愛子天皇」潰しは賛成で、消費税減税はなぜ反対? 玉木国民民主の「公約違反」がネットで袋叩き