「宇喜多の楽土」木下昌輝著

公開日: 更新日:

 手段を選ばない策略で備前の国の大名にのしあがった宇喜多直家は、毛利との戦いが正念場を迎えようとしていた大切な時期に全身から血膿を吹き出す奇病にかかり、床から起き上がれない毎日を送っていた。後継とされる八郎(のちの秀家)は、自分には父のような才はないと出家を望んだが、死の間際の父から干拓中の地を民が健やかに暮らせる楽土にしたいという思いを聞かされ、干拓事業を引き継ぎ、宇喜多家のために人生をかけることを決意する。

 乱世には不利な優しさを持った秀家は、さまざまな秀吉の命に翻弄されつつ、父とは違う方法で生き残りをかけた戦いに挑み始めるのだが……。

「オール讀物」新人賞などの各賞を総なめにしたデビュー作「宇喜多の捨て嫁」の続編。

 本作では父のようにはなれないと悩む息子・秀家が、理不尽な要求やさまざまな宿敵と出会いながらも理想を貫こうともがく様子が描かれる。

 絶体絶命の状況下での、豪姫との絆にはほっとさせられる。

 (文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐野勇斗は書道六段で英語も堪能 愛知県立岡崎西高校から明治学院大英文学科へ

  2. 2

    これが日本の「中流」サラリーマン転落の軌跡 年金の「繰り上げ受給」を選ぶのは、お金と仕事がない人

  3. 3

    巨人・橋上秀樹監督代行とは何者か…原辰徳氏には干され、阿部監督が心酔した“野村ID野球”の継承者

  4. 4

    嵐活動終了で松本潤との「結婚待望論」再燃も…キッパリ否定の井上真央が送る“幸せシングルライフ”と結婚観

  5. 5

    6月7日に「笑点が重大発表」座布団運び山田隆夫は本当に勇退するのか? 「くん」が「さん」に変わった哀愁

  1. 6

    巨人橋上監督代行が坂本勇人に肩入れする事情…出場メンバーとオーダーに“唯一”口を出した

  2. 7

    見上愛は桐朋女子中高から日芸演劇学科に進んで演出家を志す 大学同級生・河合優実との本当の関係

  3. 8

    「中傷動画」疑惑で高市首相またブチ切れ答弁連発し逃げ切り画策も…露呈した重大な“落とし穴”

  4. 9

    大谷翔平が負傷して出血…ドジャース指揮官は軽症強調もサイ・ヤング賞に悪影響を及ぼす懸念

  5. 10

    「笑点」新メンバー春風亭一之輔に“新司会就任”密約説…注目は木久扇、好楽、小遊三の進退