「宇喜多の楽土」木下昌輝著

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 手段を選ばない策略で備前の国の大名にのしあがった宇喜多直家は、毛利との戦いが正念場を迎えようとしていた大切な時期に全身から血膿を吹き出す奇病にかかり、床から起き上がれない毎日を送っていた。後継とされる八郎(のちの秀家)は、自分には父のような才はないと出家を望んだが、死の間際の父から干拓中の地を民が健やかに暮らせる楽土にしたいという思いを聞かされ、干拓事業を引き継ぎ、宇喜多家のために人生をかけることを決意する。

 乱世には不利な優しさを持った秀家は、さまざまな秀吉の命に翻弄されつつ、父とは違う方法で生き残りをかけた戦いに挑み始めるのだが……。

「オール讀物」新人賞などの各賞を総なめにしたデビュー作「宇喜多の捨て嫁」の続編。

 本作では父のようにはなれないと悩む息子・秀家が、理不尽な要求やさまざまな宿敵と出会いながらも理想を貫こうともがく様子が描かれる。

 絶体絶命の状況下での、豪姫との絆にはほっとさせられる。

 (文藝春秋 1700円+税)

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