「マイパブリックとグランドレベル」田中元子著

公開日: 更新日:

 夫と建築にまつわる企画や編集の仕事をしてきた著者は、神田の築50年の小さなビルの4階に事務所を構えた。2人で使うにはやや広く、デッドスペースにバーカウンターを設置して来客や仕事仲間にオリジナルの「建築カクテル」を振る舞った。

 これがなんとも楽しい。お金を介在させることなく時間と場所を共有できる居心地のよさ。これをまち中でもできないかと、移動式のパーソナル屋台をつくってコーヒーを無料で振る舞うと、そこに小さな自家製の公共空間が生まれる。名づけて「マイパブリック」。

 さらには、まちごとマイパブリックにしてしまえということで、公園、駅、ショッピングセンター(の1階)、集合住宅(の1階)といった地上=グランドレベルで、マイパブリックを効果的かつ有意義に実現していく。行政や組織が主体ではなく、個々人がつくる多様なパブリックな空間を通じて、まちの景観や人々とのコミュニケーションを図っていく。

 そんな豊かなまちづくりへの実践テキストが満載。(晶文社 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず