「奇跡の大地」ヤア・ジャシ著、峯村和哉訳

公開日: 更新日:

 物語は、奴隷貿易が盛んだった18世紀のアフリカから始まる。ファンティ族に属するエフィアは、生まれた夜に炎が大地を暴れまわったせいで、村人から「火の化身」と噂され、第1婦人のバアバからつらく当たられて育った。

 種族の立派な青年との結婚を夢見ていたものの、バアバに邪魔をされた揚げ句、高額な結納金をバアバに約束して求婚してきた白人のジェームズのもとへ嫁ぐように仕向けられる。

 身を切る思いで村から離れたエフィアが嫁いだ先のケープゴースト城の地下牢には、船荷として奴隷たちが収容されていた。実はその地下牢の中に、アシャンティ族の族長の娘で、エフィアの異父姉妹であるエシがいたのだった……。

 本書は、2017年アメリカン・ブック・アワード賞に輝いた話題の長編小説。ガーナで生まれ、両親と共に米国に移住した著者のデビュー作だ。奴隷貿易の忘れざる歴史と重なる、異父姉妹の7世代にわたる数奇な運命を描いた物語として話題を呼んだ。(集英社 2600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン