「奇跡の大地」ヤア・ジャシ著、峯村和哉訳

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 物語は、奴隷貿易が盛んだった18世紀のアフリカから始まる。ファンティ族に属するエフィアは、生まれた夜に炎が大地を暴れまわったせいで、村人から「火の化身」と噂され、第1婦人のバアバからつらく当たられて育った。

 種族の立派な青年との結婚を夢見ていたものの、バアバに邪魔をされた揚げ句、高額な結納金をバアバに約束して求婚してきた白人のジェームズのもとへ嫁ぐように仕向けられる。

 身を切る思いで村から離れたエフィアが嫁いだ先のケープゴースト城の地下牢には、船荷として奴隷たちが収容されていた。実はその地下牢の中に、アシャンティ族の族長の娘で、エフィアの異父姉妹であるエシがいたのだった……。

 本書は、2017年アメリカン・ブック・アワード賞に輝いた話題の長編小説。ガーナで生まれ、両親と共に米国に移住した著者のデビュー作だ。奴隷貿易の忘れざる歴史と重なる、異父姉妹の7世代にわたる数奇な運命を描いた物語として話題を呼んだ。(集英社 2600円+税)

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