「闇に魅入られた科学者たち」NHK「フランケンシュタインの誘惑」制作班著

公開日: 更新日:

 科学が生み出した恩恵を享受している現代社会。科学者たちは知的好奇心の赴くままに、さまざまな研究を続けてきた。ある者は国家プロジェクトの名のもとに暴走し、ある者は倫理観を置き去りにしたまま禁断の人体実験へと手を染めていく。本書は、科学の進展の裏で科学者たちが行ってきた負の側面に焦点を当てたNHK番組「フランケンシュタインの誘惑」のなかから、特に人体実験にテーマを絞った内容を収録したもの。

 紹介されているのは、死体を切り刻むことで解剖学に貢献した解剖学者ジョン・ハンター、ロボトミー手術の副作用を見ようとしなかった精神科医ウォルター・フリーマンら5つの事例。なかでも、オリンピックのメダル競争のために、検出されないドーピング方法を生み出した末に選手に健康被害を与えた医師マンフレッド・ヒヨップナーの事例は、現在、形を変えて進行中なのが分かる。

 決して過去の出来事ではない、科学の闇の側面に警鐘を鳴らしている。(NHK出版 1500円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  2. 7

    白木彩奈は“あの頃のガッキー”にも通じる輝きを放つ

  3. 8

    渋野日向子の今季米ツアー獲得賞金「約6933万円」の衝撃…23試合でトップ10入りたった1回

  4. 9

    12.2保険証全面切り替えで「いったん10割負担」が激増! 血税溶かすマイナトラブル“無間地獄”の愚

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?