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民主主義の危機、資本主義のワナ

「世界の未来」エマニュエル・トッドほか著

 民主主義を全うする難しさ、資本主義に任せることの恐ろしさ。世界はいま2つのリスクに立ちすくんでいる。

 日本でもよく知られたフランスの人口学者を筆頭に仏独米の知識人を招いて昨年開かれた朝日新聞社主催の国際シンポジウム。本書はその際に行われた講演とインタビューの記録だ。

 特に興味深いのは巻頭のトッド発言。核家族や民主主義は近代以降とする常識に反対し、これらは人類文明の最初にあったという。ブレグジットやトランプ現象などの「民意の反乱」は実は「民主主義の再来」というのだ。

 背景にあるのは欧州大陸型の文明観への失望。欧州議会は庶民のことなど眼中にない国際派エリートの集団だと批判し、フランスのエリート校を出て会計検査官という表街道を歩いたマクロン大統領などは「知識人ではありません。ただの優等生。体制順応で、しかも点取り虫」と容赦ない。返す刀で移民受け入れに消極的な日本を「排外的だが、同時に民主的」という。「垂直型」社会の日本も「権威主義的」なロシアも、民衆は政権交代を望んでおらず、その反映が現状だと指摘。

 では日本は問題ないのか。いや、ある。必要なのは人口動態についての行動。国が衰えることをわかっていながら何ら策を講じないのは「国力の衰えた小さな国」になることを選択しているから。それで本当にいいんですね、と念を押されているようなインタビューだ。 (朝日新聞出版 720円+税)

「欲望の資本主義2」丸山俊一、NHK「欲望の資本主義」制作班著

 今年初め、NHK―BSで放映された異色の経済ドキュメント番組の記録。仏高等師範学校はフランス随一のエリート養成校。その正教授ダニエル・コーエンは「今の経済学は限界に達しているかもしれない」と認める。

 資本の活動が複雑になり過ぎ、リーマン・ショックも警告できなかった。アマゾンが世界最大の企業になると誰が予想できたか。「個人的な写真を掲載するばかげたもの」だったフェイスブックが「世界をリードする企業になると誰が思っていたでしょう」。しかもそのGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は「他者には競争圧力をかけながら自らは競争を回避できる」という立場で高みの見物を決め込んでいる。資本主義の「闇の力」を直視せよと説く。同じ著者による「欲望の民主主義」も幻冬舎新書から本になっている。 (東洋経済新報社 1500円+税)

「恋愛と贅沢と資本主義」W・ゾンバルト原作 名波優太、Teamバンミカス絵

 マンガ版「君たちはどう生きるか」の大ヒットに刺激されたか、講談社学術文庫にある東西の古典を次々に文庫化した「まんが学術文庫」最新の一冊。勤勉が資本主義を生んだとするウェーバーに対して都市化と贅沢(ぜいたく)への欲求が「見せびらかしの消費」を促し、資本主義の興隆につながったとするゾンバルトの見方をマンガに仕立てた。

 本書を含めマンガ版の特徴は「単純化」と「ギャグ化」。議論のエッセンスはわかるので、これを終えたら講談社学術文庫に入っている原本を読み継ぎたいところ。 (講談社 600円+税)

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